[楽天グループ]楽天モバイルと中国の知られざる関係とは[Rakuten mini]

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目次

楽天グループ・楽天モバイルと中国企業/中国資本の関係

楽天グループとは

楽天グループは、インターネット通販モール「楽天市場」や、旅行予約サイト「楽天トラベル」、クレジットカード「楽天カード」、ネット銀行「楽天銀行」、ネット証券「楽天証券」など多彩なインターネットサービスを提供しており、特に日本国内では高い知名度を誇ります。





現在の本社は東京都世田谷区にあり、三木谷浩史氏によって1997年に設立されました。

プロ野球球団「東北楽天ゴールデンイーグルス」、サッカーJリーグ「ヴィッセル神戸」など、国内外プロスポーツチームのオフィシャルスポンサーとしても知られます。

 

 

楽天による携帯電話事業への参入

楽天グループは、2020年4月に携帯電話事業へ参入しました。

日本の携帯電話市場は、日本電信電話(NTT)系の「NTTドコモ」に加え、KDDI、ソフトバンクの3社が事実上寡占する状態にありましたが、楽天の参入により、4社目の通信キャリアが誕生しました。

東洋経済オンライン
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日経ビジネス電子版
値下げの旗手になれるか 楽天の携帯参入、退路なき「世界初」 乾坤一擲(けんこんいってき)の携帯電話事業が当初予定から半年遅れで始動した。低料金でシェアを広げる作戦だが、インフラは手探りで「まだ試験サービス」との声も。消費...
ダイヤモンド・オンライン
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ケータイ Watch
[法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」]『楽天モバイル』の携帯電話事業への不安と期待  2018年4月に1.7GHz帯の周波数割り当てを受け、今年10月からのサービス開始を目指している楽天モバイル。これまでのMVNOとしてのサービスに加え、MNO(Mobile Network Ope...
Rakuten Group, Inc.
携帯キャリア事業への新規参入表明に関するお知らせ | 楽天グループ株式会社 当社は、本日開催の取締役会において、携帯キャリア事業への新規参入を目指すことについて決議しましたので、お知らせします。

 

 

従来は格安スマホだった

従来、楽天モバイルは、OCN モバイル ONEなどと同じように、NTTドコモの回線を借り受けて携帯電話事業を展開する、格安スマホ事業者(MVNO)でした。

なおMVNOは、必ずしもNTTドコモの回線のみを用いているとは限らず、例えばBIGLOBEモバイルのようにKDDI(au)などの回線も用いている場合があります。

 

 

MVNOからMNOへ

今回いうような「携帯電話事業への参入」とは、こうした「格安スマホ事業への参入」ではなく、楽天モバイル自体が総務省から許認可を受け、電波の周波数割り当てを受け、全国に独自の基地局を敷設し、コアネットワークも保有している携帯電話事業者「移動体通信事業者(MNO)」になるということを指します。

 

 

楽天モバイル株式会社とは

なお、楽天の携帯電話事業を展開しているのは「楽天モバイル株式会社」です。同社は、2019年4月に、従来の「楽天モバイルネットワーク株式会社」からの商号変更を行いました。

Rakuten Group, Inc.
楽天モバイルネットワークの商号変更に関するお知らせ | 楽天グループ株式会社 楽天グループの楽天モバイルネットワーク株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役社長:山田 善久、以下 「楽天モバイルネットワーク」)は本日開催の同社株主総会にお...

 

楽天コミュニケーションズ

楽天モバイル株式会社の親会社であり母体となる企業は、「楽天コミュニケーションズ株式会社」です。

同社は楽天グループの子会社であり、もともと「フュージョン・コミュニケーションズ」という、IP電話などを提供する企業でした。

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楽天コミュニケーションズ株式会社 IP電話、モバイル・BYOD、インターネット接続、コンタクトセンターシステム等を提供する通信会社「楽天コミュニケーションズ株式会社」の公式サイトです






楽天グループとなっている現在は、個人向け光ブロードバンドサービス「楽天ひかり」や、企業向けにパブリッククラウド等を提供する、「楽天クラウド」等も展開しています。

 

旧・FREETELも合流

楽天モバイルはMVNO事業を展開しており、「旧・FREETEL SIM(フリーテル、旧・プラスワン・マーケティング)」からもMVNO事業を譲受し、格安スマホ業界では大手の一角を占めていました。

ケータイ Watch
楽天、FREETEL SIMを「楽天モバイル」ブランドに統合  楽天は1月15日、「FREETEL SIM」ブランドの通信サービスを「楽天モバイル」ブランドに統合した。

そして、この度の免許交付により、晴れて「移動体通信事業者(MNO)」となったのです。

 

 

 

 

楽天モバイルと中国

基地局は中国メーカー製ではない

楽天モバイルの4G、5G基地局は中国メーカー製ではありません。中国の基地局大手には、「華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)」や「中興通訊(ZTE)」があります。

 

NOKIAとNEC

一方、楽天モバイルは、4G基地局にフィンランドの通信機器大手「NOKIA(ノキア)」製品を、5G基地局に日本の電機メーカー「日本電気(NEC)」と共同開発した製品を採用しています。

 

イーモバイルの事例

一方、現在のワイモバイル(ソフトバンク)は、旧・イーモバイル(旧・イーアクセス)時代に携帯電話事業に参入した際、中国・華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)製基地局を採用したことで知られています。

 

 

独自端末は中国メーカー製

楽天モバイルは、携帯電話事業への参入と同時に、独自端末の投入も発表しました。

自社ブランドスマホの第一弾が、超小型スマホの「Rakuten Mini」でした。その後、「Rakuten Big」「Rakuten Hand」といった大型や通常サイズのスマホも順次発売しました。

楽天モバイルの独自端末は、中国企業が生産しています。例えば、私も使っている「Rakuten Mini」の場合、箱には

Rakuten Mini

Model:C330

輸入者:Wiko Japan Co.,Ltd.

製造者:Shenzhen Tinno Mobile Technology Corp

と記載があり、ACアダプタには、

ACアダプタ

製造元:Guangdong Beicom Electronics Co.,Ltd.

MADE IN CHINA

との記載がありました。

 

この内、製造者名にある「Shenzhen」とは「深圳」つまり、電子産業の集積地である、中国・深圳市のことを指します。また、「Guangdong」とは、「広東」つまり、中国・広東省のことを指します。

輸入者の「Wiko Japan」とは、仏スマホメーカー「Wiko」の日本法人であり、「MADE IN CHINA」とは英語で「中国製」という意味です。

「Rakuten Hand」に関しても同じ中国企業が生産しているようです。

一方、マイナビによれば「Rakuten Big」の製造元は、中国・中興通訊(ZTE)だということです。こちらは、次世代通信規格「5G」の対応機種のため、その点で製造元が分かれたのではないかと考えられます。

マイナビニュース
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楽天グループと中国

楽天に入った中国資本

楽天は、携帯電話基地局の敷設に伴う巨額の財務負担を軽減するために、第三者割当増資(他の会社等に自社の新株を発行してお金をもらうこと)による資金調達を試みました。

その最大のものは、日本政府系企業の「日本郵政」との提携であり、1500億円程度を出資してもらう代わりに、日本郵政のDX(デジタル化への移行)を支援し、共同で物流網へ投資、郵便局の窓口で楽天のスマホを販売するなどといったものでした。

Rakuten Group, Inc.
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しかし、今回の出資は日本郵政だけではなく、中国企業「騰訊(Tencent、テンセント)」も含まれていたのです。これが波乱を呼びました。

ビジネス+IT
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日米両政府による楽天の監視

中国政府による諜報等を防ぐことなどを目的として、楽天は、日本とアメリカ合衆国の両政府から、事実上の監視対象と目されるようになってしまいました。

ダイヤモンド・オンライン
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ダイヤモンド・オンライン
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Bloomberg.com
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産経新聞:産経ニュース
中国IT大手出資の楽天を監視 警戒強める日本政府  楽天グループが中国IT大手の騰訊控股(テンセント)子会社から出資を受けたことに日本政府が警戒を強めている。顧客情報などがテンセントを通じて中国当局に流出する…

 

楽天側は、中国市場への進出でテンセントと協力することなどを大義名分としていました。

ケータイ Watch
楽天モバイルの三木谷氏、「テンセント出資で政府監視強化」報道にコメント  楽天モバイル代表取締役会長兼CEOの三木谷浩史氏が30日、「iPhone」シリーズの取扱いを記念したセレモニーに登場し、囲み取材でテンセントからの出資に関する報道につい...

 

外為法をすり抜けた

しかし、経済安全保障の観点で、折しも「外国為替及び外国貿易法(外為法)」が改正された矢先のことであり、また、公的な性格の強い携帯電話事業に参入した直後であったことを考慮すると、中国企業の出資には、より慎重な対応が求められていたのではないかと言わざるを得ません。

ダイヤモンド・オンライン
楽天「中国市場参入」は幻に、テンセントの出資で“外為法の抜け穴”が露呈 楽天グループが中国・テンセント(騰訊控股)の出資を受け入れたことで、日本政府は「監視」を強化する。だが、事前規制をすり抜けた中国企業の投資に対し、事後の監視もで...
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財務省
2020年(令和2年)施行 外為法改正 関連資料 : 財務省 2020年(令和2年)施行 外為法改正 関連資料

 

中国テンセントとは

「騰訊(Tencent、テンセント)」は、中華人民共和国のIT大手です。メッセンジャーアプリ「微信(WeChat)」などを展開しており、中国国内では、中国・阿里巴巴集团(アリババグループ、Alibaba)と並ぶ巨大IT企業として知られます。

Tencent Japan(テンセントジャパン...
Tencent Japan 私たちは、1998年に中国深センで設立し、2004年に香港証券取引所に上場しました。香港ハンセン株価指数の構成銘柄の一つであります。私たちは常にイノベーションに投資し、...

 

膨張する勢力圏

テンセントは世界最大級のゲーム会社として知られますが、その背景には潤沢な資金に物を言わせた、数百社にのぼる企業への出資や買収による、勢力圏の拡大があります。

米The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)によれば、2021年3月現在の投資ポートフォリオの価値は、約2500億ドル(約26兆7000億円)にものぼります。

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海外では、電波の割当をオークション形式で行い、巨額の収入が発生しているとされ、注目を集めています。

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以降、追記したいと思います。

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