ソフトバンクグループの正体
携帯電話大手として知られ、日本で知らない人はいないであろう「ソフトバンク」。
しかし、その全容に関しては不可解な点を感じられる方もいらっしゃるのではないでしょうか。中国資本・韓国企業・インド・ロシアとのソフトバンクの関係。
この記事を読むと、その姿が見えてきます。
そもそもソフトバンクとは
「SoftBank(ソフトバンク)」は、孫正義氏によって設立された企業グループ、およびそれらが用いるブランド名です。
『ブリタニカ国際大百科事典』によれば、ソフトバンクは当初、PC用のパッケージソフトウェアを販売する企業でした。
1982年には、急拡大するソフトウェア市場に歩調を合わせ、パソコン専門月刊誌2誌を創刊。
1990年に現社名に変更。
1996年には米ヤフーとの合弁企業を設立し、「Yahoo! JAPAN」を開始。
2004年に、福岡ダイエーホークス(元・福岡ソフトバンクホークス)を買収しプロ野球事業に参入。
2006年には英ボーダフォンの日本法人を買収し、携帯電話事業に参入しました。
※以上、『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカ・ジャパン) 2015年 を参照。
3つの中核企業
ソフトバンクグループ(SoftBank Group)
ソフトバンクの企業集団を統括する企業で、かつてはこの企業が「ソフトバンク」という名前でした。東証一部上場。
現在は事実上投資会社化しており、傘下の「ビジョン・ファンド」により世界各国のAI・インターネット関連企業などへの投資を行っています。

ソフトバンク(SoftBank)
ソフトバンクグループの携帯電話キャリア・通信大手です。
旧・ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム、ワイモバイル(旧・イー・アクセス)が合併して発足しました。東証一部上場。
ソフトバンクには、3つの携帯電話ブランド「SoftBank(ソフトバンク)」「Y!mobile(ワイモバイル)」「LINEMO(ラインモ)」があります。
また、固定回線「SoftBank光(ソフトバンク光)」と、工事不要の家庭用Wi-Fiサービス「SoftBank Air(ソフトバンクエアー)」も展開しています。
一方、ソフトバンクショップなどで販売されている、携帯電話アクセサリーなどのブランド「SoftBank SELECTION(ソフトバンクセレクション)」「Y!mobile SELECTION」は、ソフトバンクではなく、グループ企業の「SB C&S」が展開しています。
Zホールディングス(ZHD)
ヤフーとLINE、ZOZO等を束ねる持株会社。ソフトバンクと、韓国企業「NAVER(ネイバー)」の合弁会社。東証一部上場。
代表的なサービスにはLINEの他、ヤフー系の「Yahoo!ショッピング」「ヤフオク!」「
Yahoo!ロコ」「Yahoo!天気」「Yahoo!乗換案内」「Yahoo!メール」「
Yahoo!トラベル」、「
Yahoo!プレミアム」などがあり、
傘下には「LOHACO(ロハコ)」「Livedoor(ライブドア)」「Livedoorブログ」「一休.com」といったサービスもあります。
他にも「PayPay銀行(旧・ジャパンネット銀行)」「PayPayカード(旧・ワイジェイカード)」など、PayPayブランドを用いた金融事業を多数行っています。
https://www.z-holdings.co.jp/
LINEMO(ラインモ)はソフトバンク
なお、格安スマホで知られる「LINEMO(ラインモ)」は、LINEではなくソフトバンクが運営するサービスです。
これは、ワイモバイルのケースと同様といえます。
本社所在地
ソフトバンクグループとソフトバンクの本社は、東京都港区海岸の東京ポートシティ竹芝にあります。
こちらは、竹芝地区の再開発事業により誕生した新ビルで、米WeWorkがオフィスデザインを担当しました。ソフトバンクグループは、2019年に当ビルへの本社移転を発表、2020年に移転を行いました。


一方、Zホールディングスの本社は、東京都千代田区紀尾井町の、紀尾井タワー 東京ガーデンテラスにあります。
こちらには、旧・ヤフー時代から本社を置いていますが、実のところ移転してきたのはごく最近です。2016年まで、ヤフー本社は東京都港区赤坂のミッドタウン・タワーにありました。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2014/06/19a/
なお、同じくZHD傘下のLINEは、こちらではなく東京都新宿区のビル内に本社を置いています。もともとは東京都渋谷区に本社がありました。
2021年にはさらに、新宿区内の別ビルに本社を移転しました。


グループの資本構成
ソフトバンクグループ
2021年3月末現在の筆頭株主は「孫正義」氏(グループ創業者)で、所有株式数は460,161千株、所有株式数の割合(持株比率)は26.47%です。


ソフトバンク
2021年3月末現在の筆頭株主は「ソフトバンクグループジャパン株式会社」(ソフトバンクグループの中間持株会社、出資比率100%)で、所有株式数は1,914,858千株、所有株式数の割合(持株比率)は40.86%です。
Zホールディングス
2021年3月末現在の筆頭株主は「Aホールディングス株式会社」(ソフトバンクと韓国NAVERの合弁会社)で、所有株式数は4,956,651,075株、所有株式数の割合(持株比率)は64.7%です。
https://www.z-holdings.co.jp/ja/ir/stock/info.html
孫正義氏とは
『ブリタニカ国際大百科事典』によれば、孫正義氏は、佐賀県鳥栖市出身の起業家です。
1976年に久留米大学付属高校を中退して渡米し、1980年にカリフォルニア大学バークレー校を卒業。在学中に日本語・英独語音声翻訳装置を考案し名をあげます。
1981年に「日本ソフトバンク」を設立し、ソフトウェアの卸で急速に事業を拡大します。1994年7月には株式を店頭公開し、1998年1月には東証一部上場を実現。
2001年に始めた「ヤフーBB」は、低価格路線が功を奏し、事業を拡大しました。
※以上、当項目は『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカ・ジャパン) 2015年 を参照。
ソフトバンクと中国企業
ソフトバンクによるアリババへの投資はとても有名であり、ソフトバンクと中国企業には様々な関係があります。
阿里巴巴集団(アリババグループ)
1999年に設立され、中国最大のEC(電子商取引)プラットフォーム・ネット通販サイト運営会社となった阿里巴巴集団(アリババグループ)。
実はその設立にはソフトバンクが大きく関わっています。アリババの最初の投資家は米ヤフーとソフトバンクだったのです。
ソフトバンクグループは、現在も同中国企業の筆頭株主となっています。そしてその株式は、ソフトバンクグループ最大級の資産なのです。


アリババとの連携
アリババクラウド
阿里雲(アリババクラウド)は、アリババグループによる大手クラウドサービスですが、日本でも展開しています。
実は、日本国内でアリババクラウドを展開しているのは、「SBクラウド」というソフトバンクとアリババグループの合弁企業なのです。
https://www.sbcloud.co.jp/
アリババ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏はかつて、ソフトバンクの社外取締役に名を連ねていました。
同氏は、Alipay(アリペイ)を手がけるアントグループの創業者でもあります。
TikTok
人気動画SNSの「TikTok(ティックトック)」は、中国・北京字節跳動科技(バイトダンス)が運営するサービスです。米トランプ政権時代には、同社への制裁と個人情報管理問題がニュースを騒がせました。
ソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、この企業に投資を行っていました。
ByteDanceは、日本でもスマホゲームアプリを展開する、北京有爱互娱科技(C4Games)などを傘下に有します。
滴滴出行(DiDi)
滴滴出行(Didi Chuxing)は、中国の配車サービス大手です。ソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、この企業に投資を行っていました。
DiDiは、近い将来の上場を予定しています。


さらにソフトバンクは、こちらの中国企業と合弁で、日本法人「DiDiモビリティジャパン」を設立し、国内展開を行っています。


ソフトバンクと韓国企業
LINEと韓国NAVER
LINEは日本のメッセンジャーアプリ大手で、韓国企業であるNAVERの日本法人でした。
韓国NAVERは、同国でシェアの高い同名の検索サイトなどを運営する企業で、「Hangame(ハンゲーム)」で知られる韓国NHNとは、元は同じ会社でした。
Zホールディングスとの統合
Zホールディングス傘下に
2019年に、LINEの親会社である韓国NAVERとソフトバンクは、ソフトバンク子会社でヤフーなどを傘下に持つ、「Zホールディングス(ZHD)」とLINEの経営統合で合意しました。これによりLINEはZHD傘下に加わり、ZHDはNAVERとソフトバンクの合弁会社となります。
読売新聞社によれば、両者の共同出資会社は「Aホールディングス」であり、ソフトバンクグループの連結対象となります。「Aホールディングス」は、ZHDの過半数の株式を保有します。ヤフーおよびLINEは、その傘下となります。






会長はNAVER創業者
韓国・聯合ニュースによれば、Aホールディングスの初代会長には、韓国NAVERの創業者である李海珍(イ・ヘジン)氏が就任し、取締役の過半数はソフトバンクが選任する予定です。
Coupang(クーパン)への投資
Coupang(クーパン)は、韓国のネット通販大手です。ソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、この企業に投資を行っていました。
こちらのニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場(SPACとの合併による)に伴い、ソフトバンクグループは巨額の含み益を手にします。


さらにクーパンは、ソフトバンク系のZホールディングスと組み、日本市場への進出を計画しているとも伝えられています。


韓国にデータセンター
ソフトバンクは、韓国の大手通信キャリア「KT」と合弁で、韓国にデータセンターを展開しています。韓国は地震発生率が低く、産業用電気代が安いことで知られます。




ソフトバンクとロシア
2018年には、ロシアの外交官に対し、ソフトバンクの元社員が機密情報を渡そうとした事件が発生しました。ソフトバンクの会社自体は無関係です。




ソフトバンクとインド
「PayPay(ペイペイ)」の正体
大規模な消費者還元で国内市場トップに躍り出たスマホ決済ブランドである「PayPay(ペイペイ)」は、ソフトバンクとZホールディングスの合弁企業として知られます。
ただ、その技術基盤はインドの決済サービス最大手「Paytm」のそれを用いたものであり、実質的な日本版と言うこともできます。
https://about.yahoo.co.jp/pr/release/2018/07/27a/
ニケシュ・アローラ
孫正義氏はかつて、インド人のニケシュ・アローラ氏を後継者と目して米グーグルから招聘し、共同経営を行っていました。
しかし、トップへの就任時期などで折り合わず、役員を退任することとなりました。


アローラ氏は、在任中にインド企業への投資などを実行しました。
ソフトバンクとオイルマネー
ソフトバンクグループのビジョン・ファンドは、ソフトバンクグループの資金のみで運営されているわけではありません。
最大の出資者はサウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)、つまりオイルマネーなのです。


ソフトバンクとアメリカ
Yahoo!(ヤフー)
米国で1994年に設立
『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカ・ジャパン)によれば、
「Yahoo! Inc.」は、1994年に、スタンフォード大学電気工学科博士課程の学生であった、ジェリー・ヤン氏とデビット・ファイロ氏によって設立されました。
ソフトバンクとの合弁
日本においては、1996年1月にソフトバンクと共同で日本法人を設立しました。同年4月に日本語での情報検索サービス「Yahoo! JAPAN」を開始します。
時間差戦略
これには米国で生まれたインターネットサービスは時間差で日本に訪れるということを分析した、孫正義氏の慧眼があったと言われています。
Zホールディングスへの改組
ヤフーはその後、Zホールディングス(ZHD)という持株会社として改組され、ヤフーのサービスは、傘下となる同名の事業会社に引き継がれました。


WeWork(ウィーワーク)
ソフトバンクは、米シェアオフィス大手「WeWork(ウィーワーク)」への巨額投資を行いましたが、同社は創業者のアダム・ニューマン氏を巡るスキャンダルや、急速な拡大戦略が裏目に出て企業価値を毀損しました。
その後は、創業者との和解や、SPACとの合併上場計画などで打開策を模索しています。




Sprint(スプリント)
ソフトバンクは2012年に、米大手携帯電話キャリア「スプリント・ネクステル」を買収し、その後「Sprint(スプリント)」に社名変更しました。
しかし、紆余曲折を経てスプリントはドイツテレコムに売却され、米国法人「TモバイルUS」と経営統合しました。


Brightstar(ブライトスター)
ブライトスターは米国の携帯電話販売店を運営する企業です。こちらについてもかつてソフトバンクが買収しましたが、すでに売却済みです。
ソフトバンク経営陣の一人である、マルセロ・クラウレ氏はブライトスターの創業者です。


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