三菱電機霧ヶ峰・日立白くまくん・パナソニックエオリア・富士通ゼネラルノクリアのエアコンならどれがいい?比較してみた結果
毎年のように夏は観測史上を更新するほど暑く、冬は平野部でも交通がマヒするほどの大雪で寒く、
「エアコン」無しでは快適に生活できなくなってきています。
エアコンの買い替えを検討している人も多いと思いますが、
「霧ヶ峰」「白くまくん」「エオリア」「ノクリア」ならどれが良いのか比較してみましょう。
一番売れているのはエオリア
それぞれのメーカーのシェア率では、エオリアが一番となっています。
霧ヶ峰(三菱電機)
まず、霧ヶ峰のメーカーは「三菱電機」です。
1873年に海運業を行う商社として設立され、1954年にルームエアコン市場に参入、
1959年に家庭用ルームエアコン、1967年に霧ヶ峰の初号機が発売しています。
一般家庭にエアコンが普及し始めた1980年代にシェアを伸ばし、
現在は家庭用エアコンの国内シェア約15%でシェア率3位となっています。
白くまくん(日立ジョンソン、ボッシュ)
次に白くまくんですが、白くまくんを作っているのは「日立」です。
ただし、正確には日立製作所ではなく
「日立ジョンソンコントロールズ」というメーカーが作っています。
アメリカの空調メーカーであるジョンソンコントロールズと
日立製作所のグループ会社が作った合弁会社です。
さらに2024年には、日立ジョンソンコントロールズの全株式を
食洗機などで有名なドイツのボッシュが取得しました。
現在も日立の名前を冠してはいるものの、
実質的には白くまくんはボッシュのエアコンブランドとなっているのです。
現在、日本国内における日立のシェア率は約15%で、
三菱電機に次ぐ4位となっています。
エオリア(パナソニック)
続いてエオリアですが、作っているのは「パナソニック」です。
1918年に、パナソニックの前身である松下電器産業の元となった
松下電気器具製作所が設立されます。
1957年に水冷式のクーラーを開発、
翌1958年に第一号となるナショナル・ホームクーラーとして発売しました。
1988年に空気清浄機機能を搭載したエアコンである初代エオリアを発売します。
2020年頃まで長らくエアコンの国内シェアトップに君臨していましたが、
2021年にダイキンにトップの座を奪われて以降は2位に甘んじています。
ノクリア(富士通ゼネラル、パロマ・リーム)
最後のノクリアですが、メーカーは「富士通ゼネラル」です。
大手家電メーカーである富士通が音響機器メーカーのゼネラルを買収、
富士通ゼネラルとして富士通の家電部門を担うグループ会社となります。
富士通ゼネラルになる以前の1964年に窓に取り付けるタイプのクーラーを開発、
世界初のフィルター自動清掃機能付きの初代ノクリアの発売は2003年です。
さらに2025年には給湯器大手のパロマと米空調大手リームの持株会社
「パロマ・リーム」が富士通ゼネラルを買収することが発表されました。
現在富士通ゼネラルは国内エアコン市場で約10%のシェアを獲得、
日立ジョンソンコントロールズに次ぐ5位となっています。
日本で現在一番エアコンを売っているのはダイキンですが、
今回比較する4つの中ではエオリアのパナソニックが一番シェア率が高いです。
売れ筋のエアコンブランドを選びたい場合は、エオリアがおすすめとなります。
ノクリアのみ海外生産でほかは国内生産がメイン
今回比較している4つのエアコンブランドの中で、
ノクリアだけが海外中心での生産となっています。
霧ヶ峰は静岡県にある三菱電機の静岡製作所で作られており、
開発・設計から生産・最終チェックまで静岡製作所で行われています。
白くまくんは、以前は主に中国で作っていましたが、
2023年からは栃木県にある日立の栃木事業所での生産に切り替えられました。
2023年以前に作られた白くまくんは中国製の可能性が高いものの、
2023年以降のモデルはほぼ日本製です。
エオリアも以前は中国での生産がメインでしたが、
現在は滋賀県にあるパナソニックの草津工場で作っています。
2024年以降に作られたエオリアの主力モデルは、
ほぼ全て草津工場で作られたものです。
ノクリアは、中国の上海とタイにある
富士通ゼネラルの製造拠点で作られています。
中国やタイで作られていても富士通ブランドとして販売されていますから、
ノクリアの品質や性能、安全性には一切問題はありません。
日本において「Made in Japan」は何よりのブランドであり、
海外製のノクリアは日本製の他の3つと比べると信用度が少しだけ落ちます。
ただ、私の実家では実際に富士通の低価格モデル(中国製)を
長年使用していますが、普通に長持ちしていますのでやはり特に問題はなさそうです。
価格が安いのはノクリア
今回比較している4つのエアコンブランドの中で、
一番価格が安いのはノクリアです。
大手家電量販店のオンラインストアでの、
「主に10畳用」「2025年ハイグレードモデル」の価格を比較しました。
霧ヶ峰は307,780円、白くまくんは285,780円、
エオリアは230,780円、ノクリアは219,780円となっています。
同じ2025年ハイグレードモデルとは言っても、
搭載されている機能が違いますから単純には比較できません。
しかし最新のハイグレードモデルを購入する場合には、
現状ではノクリアが一番安く買える可能性が高いです。
一番高い霧ヶ峰とは8万円以上、エオリアと比較しても1万円以上違いますから、
ノクリアはかなりリーズナブルと言えます。
高価なハイグレードモデルが良く、
少しでも安く購入したいという場合はノクリアがおすすめです。
低価格モデルは霧ヶ峰が一番安い
ハイグレードモデルはノクリアが一番安いですが、
低価格モデルの価格を比較すると霧ヶ峰が一番安いです。
大手家電量販店のオンラインストアで、
ハイグレードモデルと同じ「主に10畳用」「2025年モデル」の価格を比較しました。
霧ヶ峰は116,487円、白くまくんは159,270円、
エオリアは121,970円、ノクリアは146,295円です。
一番高い白くまくんと比べると4万円以上違いますし、
ノクリアと比較しても3万円ほど霧ヶ峰の方が安くなっています。
「色んな機能は要らない、冷房と暖房さえ使えれば良い」という場合には、
霧ヶ峰が一番安く手に入ります。
省エネ性能が高いのは霧ヶ峰
最近はエアコンの使用時間が長くなっている上に電気代も高騰しているので、
エアコンは「省エネ性能」も気になるところです。
省エネ性能を比較すると、霧ヶ峰が一番高くなっています。
先に価格を比較したハイグレードモデルの省エネ基準達成率は、
2027年度基準で霧ヶ峰が101%、白くまくんとノクリアが100%、エオリアは87%です。
低価格モデルの省エネ基準達成率は、
同じ2027年度基準で霧ヶ峰・エオリア・ノクリアが87%、白くまくんが86%です。
低価格モデルについては差が1%しかありませんから、
省エネ性能の違いはそれほど気にする必要はありません。
ハイグレードモデルに関しては、
霧ヶ峰とエオリアでは10%以上省エネ基準達成率が違っています。
単純に電気代が10%以上違うというわけではありませんが、
使用頻度によってはエアコンの年間電気代が数千円程度は違ってくることもあります。
少しでも電気代を節約したい、環境保護に貢献したいと考えているなら、
今回比較している中で一番省エネ性能が高い霧ヶ峰を選択するのがおすすめです。
霧ヶ峰・白くまくん・エオリア・ノクリアそれぞれの強みと弱み
エアコンはメーカーごとに搭載している機能が違うので、単純には比較しにくいです。
そこで、今回比較している4つのエアコンブランドの強みと弱みをそれぞれ紹介しておきましょう。
強みと弱みを理解しておけば、
エアコンを購入する際に何を重視するかでどのブランドを選べば良いか判断しやすくなります。
霧ヶ峰は静音性が強みで使いにくさが弱み
三菱電機の霧ヶ峰の強みは、先にも紹介した省エネ性能と静音性です。
特に夏場はエアコンをつけたまま寝ることも多いので、
作動音が大きいと神経質な人でなくても寝付けません。
フルパワーで作動すると60db前後の音が出ますが、
室温が設定温度になると40db程度まで音が小さくなります。
60dbだと少しうるさいと感じるかもしれないものの、
40db程度であれば就寝時でもほとんど気にならないぐらいのレベルです。
また霧ヶ峰には「プラズマ空清」という空気清浄機能が搭載されており、
花粉などアレルギー物質を除去してくれます。
ただし、エアコンの初期設定が少し複雑で、
リモコンも少し使いにくい仕様となっています。
三菱電機のエアコンを使い慣れているなら問題無いですが、
初めて霧ヶ峰を使う場合には少し戸惑うかもしれません。
白くまくんの強みは衛生性能、弱みは価格
日立の白くまくんの強みは、何と言っても「衛生性能」です。
エアコンの内部や部屋の空気を清潔に保つ機能が非常に優れています。
パネルなどの素材にステンレスを使い、
エアコンの内部に汚れやカビをつきにくくしています。
さらに、熱交換器を一度凍らせて霜がついた状態にして、
それを溶かすことで汚れやカビを洗い流す凍結洗浄機能も搭載されているのです。
凍結洗浄によって熱交換器に目詰まりが起こりにくくなり、
エアコンの風量が低下せず省エネ効果も期待できます。
また、内部についた汚れやカビがエアコンを起動させると外に放出されますが、
凍結洗浄によって汚れやカビが部屋に放出されるのも防いでくれます。
エアコンは定期的に内部洗浄するのが望ましいですが、
白くまくんなら内部洗浄の頻度が減らせるのでエアコン掃除が面倒な人にはピッタリです。
ただし、白くまくんは数あるエアコンの中では
価格が高い部類となっているのが弱みです。
加えて、エアコン運転時の音が他メーカーのエアコンと比べて
少し大きいのも白くまくんのデメリットとなっています。
エオリアの強みは掃除の手軽さ、弱みは独自機能の効果
パナソニックのエオリアの強みは、何と言っても「掃除の手軽さ」です。
フィルターの自動掃除機能は当然として、
自動掃除で溜まったホコリなどをゴミをエオリアは自動で排出してくれます。
他メーカーでは、定期的にダストボックスを外してゴミを捨てる、
掃除機でダストボックスのゴミを吸い出すといったことをしなければいけません。
エオリアの場合は、自動掃除のたびにホコリなどは
細いホースを通って室外に排出される仕組みとなっています。
室外機のところにあるゴミ排出用ホースの出口が詰まらないようにしておく必要はありますが、
フィルター掃除の手間はほとんどかかりません。
またエオリアには換気や除湿・加湿の機能に加えて、
コンプレッサーから排出された熱エネルギーを冷暖房に再利用するエネチャージ機能も搭載されています。
ただし、エオリアの独自機能であるナノイーXの効果に疑問を持たれている点が弱みです。
ナノイーXは、空気中から集めた水分に圧力をかけて水素イオンなどを生成する、
パナソニックが開発した独自の空気清浄機能です。
生成された微細なイオンが空気中の有害物質の働きを抑制し、
空気中のニオイも除去してくれます。
説明だけ聞くと非常に有効な機能に思えますが、
ナノイーXの効果に関しては学術的根拠に乏しい面があります。
パナソニックが行った実験では確かに効果が実証されているものの、
その効果の根拠となる学術論文等が今のところ見つかっていません。
パナソニックほどの企業がいい加減な実験は行わないでしょうから、
ナノイーXに効果があるのは確かだと思われます。
しかし効果の根拠が今のところ実証実験の結果だけというところで、
その効果に対して多少の疑問を持つ意見も少なからずあるということです。
イオン発生機能については「なくても困らないがあるとより良い」
くらいに考えておくと良いかもしれません。
ノクリアの強みはコスパ、弱みは性能のバラつき
富士通のノクリアの強みは、やはりコスパの高さです。
先に価格を比較しましたが、ハイグレードモデルは
今回比較している4ブランドの中では一番安くなっています。
低価格モデルや霧ヶ峰やエオリアより高くなっているものの、
エアコンを安く手に入れるならノクリアは選択肢として外せません。
他メーカーが国内生産に回帰する中、富士通ゼネラルは現状でも海外生産を続けており、
それが価格での優位性を生んでいます。
ただ今後は富士通ゼネラルも国内生産に回帰する動きを見せており、
ノクリアの価格優位性が失われる恐れはあります。
またノクリアはサイズがコンパクトなので、
場所を気にせずに設置できるのも大きな強みです。
弱みは、機種によって性能にバラつきがあることです。
高価格のハイグレードモデルは非常に高性能でコスパが高いものの、
低価格モデルは価格の割に性能が高くないという意見が少なくありません。
実際にノクリアの低価格モデルを使っている人の意見には、
「冷房・暖房でもぬるい風しか出ない」「冷房で部屋が全然冷えない」といったものがありました。
ただ、私の実家では実際に富士通の低価格モデルを長年使用していますが、
冷暖房は問題なく効いています。
冷暖房が効かないという人は初期不良だったり
室外機に草が絡まっていたりと、何か別の原因なのではと思います。
まとめ
霧ヶ峰・白くまくん・エオリア・ノクリアを比較しましたが、
いずれもメジャーなエアコンブランドだけあって甲乙つけがたいです。
エアコンの電気代が気になる人は、省エネ性能が高い霧ヶ峰がおすすめです。
エアコン内部の汚れやカビが冷暖房時に部屋に放出されるのがイヤなら、凍結洗浄で内部が常に清潔に保たれる白くまくんを選ぶのが良いでしょう。
定番の安心感が欲しい、フィルター掃除の手間を省きたい場合は、国内シェア率2位でフィルターゴミの自動排出機能がついたエオリアです。
エアコンの購入費用を少しでも抑えたいのであれば、メジャーブランドの中では比較的価格の安いノクリアがおすすめとなります。
エアコンに対して何を望むのか、どういった機能を重視するかを考えると、どのブランドを選ぶべきかが見えてくるはずです。