個人事業主向けクラウド会計ソフトfreee・マネーフォワード・弥生・ソリマチではどれがいい?
個人事業主のような小規模事業者では不要と考えられがちですが、「会計ソフト」を
導入することで、日々の会計業務や確定申告といった作業を効率的に行えます。
そこで、数ある会計ソフトの中で
・freee
・マネーフォワード
・弥生
・ソリマチ
の4つについて、個人事業主が使いやすいのはどれか比較してみたいと思います。
会計ソフト選びのポイント
「何でも良いから会計ソフトを使えば業務が効率化できる」というわけではなく、
自分に合ったものを選ばないとかえって非効率です。
会計ソフトを選ぶ際のポイントとしては
・利用目的
・インストール型、クラウド型
・サポート体制
・費用
の4つが挙げられます。
まず「利用目的」ですが、一口に会計ソフトと言っても「日々の帳簿付けを楽にする」
ものや「確定申告を簡単・確実に行う」ものなどそれぞれに特徴があります。
そのため利用目的に合ったソフトを選ばないと、
かえって業務効率が悪くなってしまう恐れがあるのです。
ですから、会計ソフト導入を検討する際には、
まずは「何のために会計ソフトを導入するのか」をしっかり考えてください。
インストール型かクラウド型か
会計ソフトには、大きく分けて
・インストール型
・クラウド型
の2つの種類があります。
「インストール型」は、オンラインショップや家電量販店などでパッケージ版を購入して
パソコンにインストールして使うタイプの会計ソフトです。
オフラインで会計ソフトを使うことができるので、ネット環境を気にする必要がありません。
また基本的に売り切りですから、ソフトの購入費用だけで、
月額料金を請求されることは無いです。
ただバージョンアップができないため、法改正などでシステム変更が
必要となった場合にはソフト自体を買い替える必要があります。
「クラウド型」は、オンライン上で提供されている会計ソフトにインターネットを通して
アクセスして利用することになります。
簡単な初期設定は必要ですがインストールは不要で、
申し込みが完了したらすぐに使い始めることができます。
また運営側が常時ソフトを最新の状態に保ってくれるので、
法改正などでシステム変更が必要となっても利用者側は特に何もしなくてOKです。
さらにクラウド上にデータが保存されるため、パソコンが故障してもデータが消えたり、
ソフトが使えなくなる心配がありません。
インストールする必要が無いので、
パソコンだけでなくスマホやタブレットでも使うことができます。
ただ月額料金が必要ですから、
コスト的にはインストール型よりも高くなってしまう可能性が高いです。
それから不正アクセスによるデータ漏えいのリスクもあり、
サポートやセキュリティを重視したソフト選びが求められます。
どのようなサポートが受けられるか
会計ソフトを導入したのは良いものの、
「上手く使いこなせない」といったケースも出てくるかもしれません。
また「マニュアルを読んでも使い方がよく分からない」「適当に使っていたら
動かくなった」などのトラブルが発生することも考えられます。
そういった時に、適格なサポートが受けられるかどうかも会計ソフトを選ぶ際には
注視しておかないといけません。
費用は長期的な視点で比較する
最後に「費用」ですが、これは短期的ではなく長期的な視点で比較した方が良いですよ。
短期的な視点だと、ソフトを購入しないといけないインストール型よりも
インストール不要なクラウド型の方が断然お得です。
ただクラウド型は月額料金が必要ですから、買い替えが発生しなければ、
長期的に見るとインストール型よりも費用が嵩む可能性が高いです。
また長期的に利用するとなると、必然的にサポートを利用することになり、
そのサポートの利用にも料金が発生します。
ソフトによって無料で受けられるサポートの範囲が違いますから、
その辺りもしっかりとチェックしておく必要があります。
主な個人事業主向け会計ソフトの比較
では
・freee
・マネーフォワード
・弥生会計
・ソリマチ
の4つについて比較していきましょう。
「freee」は会計業務の経験が無くても、
最低限の簿記知識があれば誰でも簡単に使えるソフトです。
経理の自動化から確定申告書の作成まで、
会計業務に関することは一通りできるようになっています。
「マネーフォワード」は従来の会計ソフト方式に最新機能を盛り込んだような会計ソフトで、
どちらかと言うと会計業務経験ありの人が使いやすくなっています。
確定申告の電子申告にも対応してますが、
どちらかと言うと日々の会計業務を効率化できるソフトといった感じですね。
「弥生」は「弥生会計」を始めとした会計ソフトシリーズを提供しており、
中でも個人・個人事業主向けなのが「やよいの白色申告/青色申告オンライン」です。
ソフト名からも分かるように、
どちらかと言うと確定申告の効率化に重きを置いた会計ソフトとなっています。
「ソリマチ」の会計ソフトと言えば「会計王」ですが、会計王は中小規模法人向けなので、
個人事業主が使うなら「みんなの青色申告」ですね。
先の弥生と同じで、どちらかと言うと確定申告の効率化に重きを置いています。
ただ確定申告に特化しているわけではなく、
日々の会計業務の効率化にもしっかりと貢献してくれます。
初心者向けのソフトで、初めて会計ソフトを導入する場合には使いやすいですが、
会計ソフトを使い慣れている場合には「丁寧すぎる」と感じるかもしれません。
ソリマチの「みんなの青色申告」のみインストール型
今回比較している会計ソフトの中では、
ソリマチの「みんなの青色申告」がインストール型となっています。
それ以外の「freee」「マネーフォワード」「やよいの白色申告/青色申告オンライン」は、
いずれもクラウド型の会計ソフトです。
ちなみに「やよいの青色申告」には、
2022年仕様のインストール型「やよいの青色申告22」もあります。
インストール型であるソリマチの「みんなの青色申告」は、
毎年改定版が発売されていて最新版は「みんなの青色申告21」となります。
ただし、この「みんなの青色申告21」は2021年の確定申告用に2020年末に
発売されたものです。
2021年末に「みんなの青色申告22」が発売されなかったため、
2022年5月現在でも2021年用の「みんなの青色申告21」が最新版となっています。
「会計王」を始めとしたソリマチの会計ソフトは全て2022年仕様が発売されていません。
ですからひょっとすると、インボイス制度の開始に合わせてインストール型から
クラウド型へ移行する予定があるのかもしれないですね。
(単なる推測です)
クラウド型もインストール型も無料で試せる
会計ソフトは1度使ったら終わりではなく、継続して使うものですから、
長期的ないくらかかるので判断するので重要でしたよね。
まず「freee」の料金ですが
・スターター 月1,180円 年払い11,760円(月980円)
・スタンダード 月2,380円 年払い23,760円(月1,980円)
・プレミアム 年払い39,800円(月3,316円)
となります。(「プレミアム」は年払いのみ)
次に「マネーフォワード」の料金は
・パーソナルミニ 月980円 年払い9,600円(月800円)
・パーソナル 月1,280円 年払い11,760円(月980円)
・パーソナルプラス 年払い35,760円(月2,980円)
です。(「パーソナルプラス」は年払いのみ)
続いては「やよいの白色申告」で
・フリープラン 無料
・ベーシックプラン 年払い8,000円(初年度4,000円)
・トータルプラン 年払い14,000円(初年度7,000円)
「やよいの青色申告」は
・セルフプラン 年払い8,000円(初年度無料)
・ベーシックプラン 年払い12,000円(初年度6,000円)
・トータルプラン 年払い20,000円(初年度10,000円)
となっています。
最後にソリマチの「みんなの青色申告」ですが、購入費用が10,780円、
インストール型なので月額・年額といった定期支払はありません。
単純に料金で比較するのは難しいですが、
1年間の金額だけで見ると「やよいの青色申告」が一番安くなっています。
「やよいの白色申告」は無料で使えますが、
個人事業主では「事業収入が少ない」など白色申告するケースが限られています。
また個人事業主が白色申告するのにはメリットよりもデメリットの方が
多かったりしますから、基本的には個人事業主は青色申告をすることが多いです。
ちなみに「freee」と「マネーフォワード」は初月無料、
「やよいの青色申告」にも一部機能が制限された無料体験版が用意されています。
またインストール型である「みんなの青色申告」にも30日間使える無料版があります。
ですから「とりあえず無料で使ってみて、
自分に合っていれば有料版を使う」といった使い方が良いのではないでしょうか。
クラウド型はプランによって受けられるサポートが変わる
次に「サポート」の比較ですが、注意すべきは「クラウド型はプランによって
サポート内容が変わる」ということです。
一般的に、料金の高いプランほど手厚いサポートが受けられ、
料金の安いプランほどサポートが受けにくくなっています。
実際に無料で利用できる「やよいの白色申告」のフリープランでは、
ほとんどサポートが受けられません。
会計業務や確定申告について熟知している、会計ソフトを完全に使いこなせているなら
ともかく、そうでないなら必要なサポートが受けられるプランを選びましょう。
freeeとMFクラウド会計の場合
まず「freee」で受けられるサポートは、
3プラン共通でメール・チャットでのサポートは受けることができます。
スタータープランはこのメール・チャットでのサポートのみで、
スタンダードプランになるとメール・チャットでのサポートが優先的に受けられます。
確定申告や決算などの繫忙期には、サポートの申し込みに対してレスポンスが
遅いことも多いですが、スタンダードプランならそういった心配がありません。
プレミアムプランでは、メール・チャットでの優先サポートに加えて電話サポート、
さらに会計ソフト乗り換え時のデータ移行・初期設定のサポートも受けられます。
「マネーフォワード」では、3プラン共通でメール・チャットでのサポートが受けられ、
パーソナルプラスでは電話サポートも受けられるようになっています。
会計ソフト乗り換え時のデータ移行のサポートも受けられますが、
3プラン共通でオプションとなっていて別途50,000円の料金がかかります。
やよいとソリマチの場合
「やよいの白色申告/青色申告」は、白色申告のフリープラン、
青色申告のセルフプランでは基本的にサポートが受けられません。
白色申告・青色申告共通で、ベーシックプラン・トータルプランでは
メール・チャット・電話を使ったサポートが受けられます。
またオペレーターと画面を共有、
電話越に同じ画面を見ながらサポートを受けることも可能です。
さらにトータルプランでは
・仕訳
・確定申告
・経理業務
・消費税法改正業務
・マイナンバー
といった会計ソフトの操作以外の相談もできるようになっています。
ソリマチの「みんなの青色申告」では、
基本的にメール・チャット・電話でのサポートが受けられます。
ただオペレーターは専属なので、毎回1からではなく、
継続したサポートが受けられますよ。
また「バリューサポート」という有料の年間保守サポートを利用すると、
・次期製品の無償提供
・法令改正への対応保証
など追加のサポートが受けられるようになります。
ちなみにバリューサポートの料金は、
「みんなの青色申告」の場合は年額で6,600円です。
料金とサポート内容で比較すると「やよいの青色申告」が一番お得?
利用目的は人それぞれなので比較しにくいですが、料金とサポート内容を
単純に比較すると「やよいの青色申告」が一番お得な感じがしますね。
サポート内容が手厚いトータルプランが年額20,000円で、「freee」」や
「マネーフォワード」の上位プランと比べると15,000円以上安くなっています。
それでいてソフトの使い方のサポートだけでなく、確定申告や経理業務に関する
相談もできるので、特に開業したての個人事業主にはありがたいですね。
ソリマチの「みんなの青色申告」もバリューサポートの利用込みで考えるとお得ですが、
業務の相談まではできないので「やよいの青色申告」には少し及ばない感じです。
まとめ
個人事業主向けの会計ソフトの中でも、
特にポピュラーな4つについて料金やサポート内容などを比較しました。
個人的には「やよいの青色申告」」が一番お得だと思いますが、
「使い勝手」を含めると評価が一変する可能性もあります。
それぞれ一定期間無料で使えるようになっていますから、まずは実際に使ってみて、
あなたが一番使いやすい会計ソフトを探してみてください。