Simeji(しめじ)の正体
スマートフォンの日本語入力アプリに、「Simeji(しめじ)」というものがありますが、一体どこの国のどのような企業の製品なのでしょうか。
今回はこちらのブランドについて、分かる範囲で解説していきたいと思います。
この記事を読むと、「Simejiとは何か」がわかります。
「Simeji(しめじ)」は中国企業のブランド
「Simeji(しめじ)」アプリは、「北京百度网讯科技有限公司(Baidu, Inc.)」という企業の日本法人が展開しています。
所在地は、北京市海淀区上地十街10号百度大厦2层 です。
代表者は、梁志祥氏です。
この中の「北京市(Beijing)」とは、中華人民共和国の首都を指します。
百度(Baidu)とは
2000年創立の上場中国企業
北京百度网讯科技有限公司(百度公司)は2000年1月に中关村で成立し、2001年6月5日に登記設立しました。
米NASDAQ(ナスダック)市場と、香港市場に上場しています。

中国最大の検索サイト
バイドゥは中国最大の検索サイトであり、中国有数のAI開発企業でもあります。
同社の主な運営サイトには、以下のようなものがあります。
百度(Baidu)
hao123
www.hao123.com(www.hao222.net、www.hao222.com)
Simejiは、日本生まれのアプリ
Simejiは、もともと日本人のエンジニア“Adamrocker”氏こと足立昌彦氏と、デザイナーの矢野りん氏によって生み出されました。

Simejiの前身は、Googleサジェストを利用して2008年11月17日に登場した「inJap」です。
ところが1日で破棄されてしまったため、11月18日に「Social IME」を使ったSimejiのVer.1が登場します。SimejiのVer.2が登場したのは、5ヵ月後2009年4月のことでした。

現在は百度の日本法人が展開
バイドゥによるSimejiの買収
2011年12月13日、百度公司の日本法人である「バイドゥ株式会社」がSimejiの買収を発表します。
併せて足立氏と矢野氏は、バイドゥに入社しました。

バイドゥ株式会社とは
バイドゥ株式会社の企業情報は以下の通りです(2021年9月現在)。
社名 バイドゥ株式会社 Baidu Japan Inc.
所在地 〒106-6139 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー39階
設立 2006年12月
資本金 4億6,000万円
主要株主 Baiduグループ
代表者 代表取締役社長 Charles Zhang(張 成煥)
事業内容 インターネット製品、サービスの開発・提供、インターネット広告の販売
バイドゥ株式会社の社歴は以下の通りです(2021年9月現在)。
2006年12月 Baidu, Inc.の初の現地法人としてバイドゥ株式会社を設立
2007年9月 六本木ヒルズ森タワー20階に移転
2011年12月 Andorid™日本語入力アプリケーション『Simeji』を事業取得
2012年5月 六本木ヒルズ森タワー34階に移転
2015年6月 東大発のベンチャー企業popIn株式会社と経営統合
2016年12月 ボイスアプリ『LisPon』提供開始
2017年4月 六本木ヒルズ森タワー39階に移転

「きせかえ」機能に特徴
オリジナルデザインの「きせかえ」機能が、Simeji一番の強みです。
ディズニーなどの有名キャラクターやアニメ、各種アーティストなどとのコラボレーションによる、多彩なスキンを順次追加しています。
中国Simejiの安全性と危険性
過去にクラウド変換で中国へ送信問題
Baiduの中国サーバーへ送信
2013年12月、読売新聞社などにより、Baiduが展開する「Baidu IME(旧・Baidu Type)」と「Simeji」が、クラウドと連携して変換する「クラウド入力」機能を利用することにより、入力した文字データを中華人民共和国のサーバーに送信していたと報じられました。
情報セキュリティ会社の「ネットエージェント」の検証によると、Baidu IMEとSimejiでは、「クラウド入力」機能がオフの場合でも、全角入力の情報をSSLで暗号化して送信していました。
一方、半角入力のみの場合は、情報は送信されておらず、「クレジット番号や電話番号も変換しなければ送られません」と同社は説明したということです。
入力内容のほかには、コンピュータやスマホの識別情報などを送信していました。



同社は「バグ」と発表
バイドゥは、「ログ送信機能がOFFの場合でもログを送信するバグが存在していた」との見解を発表しました。

中国法の適用
中国のサーバーに送信されると何が問題かというと、中国法が適用され、中国共産党政府への情報提供義務が生じる場合があるからです。
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「Moplus」については否定
一方、Baidu製アプリの多くに搭載される「Moplus」にバックドアが仕込まれていた問題が2015年に明らかになりました。
この件については、「Simeji」への搭載を否定しています。
信頼回復に努める
その後、バイドゥ株式会社は信頼回復に努めています。
結果、「Baidu IME」についてはサービス終了となりましたが、「Simeji」のサービスは継続中です。



Baiduクラウド連携は継続
一方、Baiduクラウドとの連携は維持・拡大しています。
百度公司のAI(人工知能)と連携および分析することで、高い精度の音声入力などを実現しています。

まとめ
以上のことから「Simeji(しめじ)」は、中国の検索エンジン大手「百度(Baidu、バイドゥ)」の日本法人が運営する、日本生まれの文字入力アプリということになります。

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