NECは「もう持たない」「いつ潰れる?」「家電撤退」という不安な噂、それは果たして現実なのか
NECといえばパソコンのブランドとして有名で、
一般に「大手電機メーカー」と知られるメーカーです。
しかしネット上では、
「NECはもう持たない」「いつつぶれる?」「家電撤退」「オワコン」「中国資本」
などといったうわさが聞かれることもあるかもしれません。
NEC製品を検討していたり、使っていたり、
はたまた就活で入社先として検討している場合は不安になってしまいますよね。
そこでこの記事では、どうしてこういったうわさが出てくるのか見ていきます。
そうすると、意外な事実が浮かび上がってきました。
そもそもNECとは
そもそもNECとはどのような会社でしょうか。
NECは正式には「日本電気株式会社」という東証上場企業です。
東京に本社を置き、川崎市などに大規模研究所を有します。
一般にはパソコンのブランドとして有名ですね。
家電メーカーというイメージもあるかもしれません。
春闘では名だたる電機メーカーと一緒に労使交渉にあたっているし、
銘柄コードの業種分類も「電気機器」ですよね。
しかし、そのイメージは実をいうと正しくないのです。
かつては大手電機メーカーだった
かつて、確かにNECは大手電機メーカーでした。
旧・新日本電気
旧・日本電気ホームエレクトロニクス
の2社が、
扇風機、換気扇、洗濯機、エアコン、ブラウン管テレビ
といった家電製品を手掛けていました。
しかし、NECは2001年2月に家電事業から撤退しており、
2012年9月28日をもって、NEC家電製品の修理・相談受付も終了しています。
かつては大手パソコンメーカーだった
また、かつてNECは大手パソコンメーカーでした。
え?今もでしょ?
と思われるかもしれませんが、
NECはすでにパソコン事業を分離し、中国の大手パソコンメーカー「レノボ」
と合弁化しています。
実質的に、NECのパソコン事業はレノボの子会社となっているのです。

ただ、資本は変わりましたが、NECのパソコン事業を基本的に引き継いでいますから
一部の上位モデルは日本製ですし、それ以外も特に問題なく使えます。
かつては携帯電話・スマホメーカーだった
また、NECはかつて携帯電話・スマホメーカーでした。
途中からカシオ・日立との合弁になりましたが、
3Gケータイや、スマートフォン「MEDIAS」などを手掛けていました。
しかし、現在はすでに撤退しています。

NECは家電メーカー?
こうしてみると、「NECが家電メーカー」というのは
あまり正確とは言えない情報だとわかると思います。
すでに家電からは撤退しています。
そして、こうした情報を知っている方にとってみれば、
「NECはもう持たない」「いつつぶれる?」という考えに至ってしまうことも
無理ないとも考えられます。
では、本当にNECはもうだめなのでしょうか。
現在はむしろ「IT企業」
結論から言えば、NECの経営は順調です。全然問題ありません。
NECはすでに電気製品の製造を主力としていなく、
現在はむしろ「IT企業」としての性格を強めているのです。
まず、NECはソフトウェア開発などのIT事業が成長しています。
さらに、セキュリティ分野にも明るく、
顔認証システムでは業界の第一人者と言える企業です。
最近の事例では、無人コンビニがニュースに取り上げられました。

また、NECは通信基地局の大手メーカーで、
NTTドコモや楽天モバイルといった通信キャリアに基地局を納入しています。
ローカル5Gの研究開発のほか、国際開発にも乗り出しているのです。
ユーザーに身近なところでは、
モバイルルーターやホームルーターのメーカーでもあります。
例えば、GMOとくとくBB、BIGLOBE WiMAXといった
WiMAXルーターでは定番メーカーの一つです。
国産としてはもはや唯一の選択肢と言っても過言ではありません。

ほかにも、主に光回線環境で使用する
家庭用のWi-Fiルーター(無線LANルーター)では主要なメーカーの一つです。
格安サービスのminicoを含む、ソネット(ソニーネットワークコミュニケーションズ)の光回線では、
NEC製高速無線LANルーターが無料レンタルされる場合があるようです。

これらルーター製品を製造販売しているのは「NECプラットフォームズ」です。
インフラの遠隔監視システムや企業向け、車載通信機器も手掛ける大手メーカーとなっています。
世界的な通信プロジェクトにも
NECは世界的な情報通信プロジェクトにもかかわる企業です。
NECは海底ケーブルの「世界3強」として知られる世界トップクラスの事業者です。
海底ケーブルは世界のインターネット通信を影で支えており、私たちの生活になくてはならないインフラと言えます。
次世代通信の世界的なメーカーが国内にあるのは誇らしいことです。
海底ケーブルの製造はNEC子会社のOCC(横浜市)が担当しています。

まとめ
NECは家電やパソコン事業からはすでに撤退もしくは売却していますが、
情報通信分野で世界屈指の実力をもつIT企業に変貌しています。
つまり、昔とは稼ぎ頭が変わっただけなのです。
5G、6Gといった次世代移動体通信、海底ケーブルといった長距離通信、
顔認証技術やソフトウェア開発といった分野において
相変わらず日本を代表する企業の一つといえるでしょう。
もちろんかつての某電機メーカーによる不適切会計騒動、某自動車部品会社の経営危機などを見る限り
将来どうなるかは誰にもわかりませんが、
NECが「もう持たない」「いつ潰れる?」というのは
主に製造業を中心としていた過去のイメージに基づくものと考えられるため、
ITを主力とする現時点においては、根も葉もないうわさと言っても過言ではありません。