富士通と中国資本の関係の全容
富士通は中国資本との噂を耳にしたことがありませんか?これは事実なのでしょうか。
そもそも富士通とは
日本の電機メーカー
メーカーとして知られる
富士通は一般的に、日本を代表する電機メーカーないしパソコンメーカーの一つであり、「Fujitsu」ブランドを用いて事業を展開していることが認知されています。
主力事業は移りつつある
一方、同社は、5GやシステムインテグレーションといったICT分野に、事業の軸足を移しつつあります。
川崎の企業
富士通株式会社は、川崎市に本店を置く企業です。

東証一部上場企業
同社は、東京証券取引所市場第一部に上場する企業です。

川崎フロンターレの親会社
公式スポンサー
富士通は、サッカーJ1、川崎フロンターレ(川崎市)の親会社としても知られます。

なぜ中国資本説が生まれるのか
このように、富士通は正真正銘の日本企業です。では、なぜそんな富士通に中国資本説が生まれるのでしょうか。それは、同社のパソコン事業に起因すると考えられます。
Lenovo(レノボ)という存在
この件には、とある中国企業が関わってきます。それは、パソコン売り場などでよく見かけるあのブランド、「Lenovo(レノボ)」です。
中国のパソコンメーカー
社名は「聯想集団」
レノボは、正式には「聯想集団(レノボ・グループ)」といい、中国(中華人民共和国)に本社を置く、パソコンなどを製造するメーカーです。同社は「香港に登記するグローバル企業」を標榜していますが、実質的な本社は北京にあり、中国企業であると見られています。

ブランド名は「Lenovo」
現在、同社が使用しているブランド名は「Lenovo(レノボ)」です。かつては「lenovo」と、最初が小文字で始まるロゴを採用していましたが、読み方は同様に「レノボ」です。イメージの刷新などを狙いとして、2015年に新ロゴが発表されました。


中国科学院
聯想集団の前身である「中国科学院計算技術研究所新技術発展公司」は、中国政府系研究機関として知られる、「中国科学院」の一部門であった「中国科学院電子計算器研究所」出身の柳伝志氏によって、1984年に中国で設立されました。


世界首位級のPCメーカー
Lenovo(レノボ)は、世界トップクラスのシェア(市場占有率)を誇るPCメーカーです。東洋経済新報社『会社四季報業界地図』によれば、2018年の世界シェアは米HPに次ぐ2位でした(同3位は、米デル)。
レノボによるM&A
ThinkPadの事例
レノボは巧みなM&A(合併および買収)で知られる企業です。特に有名なものとして、米IBMに対する事業買収が知られています。レノボは、2004年に米IBMのパソコン事業を買収し、「ThinkPad(シンクパッド)」「ThinkCentre(シンクセンター)」で知られる、同社のブランドおよび資産を手に入れ、ハイエンドPC市場において飛躍を遂げたのです。
NECに続き、富士通の事業を買収
NECパーソナルコンピュータを買収
レノボのM&Aは、日本でも行われました。NECのパソコン部門であったNECパーソナルプロダクツを前身とする、NECパーソナルコンピュータを共同持株会社の傘下とすることで、実質的に買収したのです。

富士通クライアントコンピューティングを買収
日本での次なる買収は富士通でした。富士通のパソコン部門であった、「富士通クライアントコンピューティング」株式の過半数を取得し、子会社化しました。


国内工場は維持
富士通ブランドパソコンの生産を担ってきた、同社傘下の島根富士通(島根県出雲市)、および富士通グループの富士通アイソテック(福島県伊達市)は維持されました。
富士通のPCは中国資本
Lenovoグループ
このような経緯から、富士通のパソコン事業である「富士通クライアントコンピューティング」は、聯想集団(レノボ・グループ)という中国企業の傘下になっています。
スマホ事業は国内資本
一方、携帯電話端末事業に関しては、様相が異なります。
国内投資ファンドに売却
ポラリス・キャピタル・グループが買収
富士通のスマホ事業部門である、「富士通コネクテッドテクノロジーズ(FCNT)」については、中国企業ではなく、国内投資ファンドのポラリス・キャピタル・グループに売却されました。
ポラリス・キャピタル・グループについて
また、ポラリス・キャピタル・グループの買収によって、FCNTは国内スマホメーカーではなくなったという論調が見られます。しかし、「Polaris」を名乗る投資ファンドは世界に複数あると見られ、この中でも同社を買収したファンドは以下の「ポラリス・キャピタル・グループ」(東京)であり、出資構成は不明ですが、みずほ証券を母体とする国内の投資ファンドで、経営陣はすべて日本人です。
「arrows」「らくらくホン」
FCNTは、「arrows」「らくらくスマートフォン」のスマホブランド、「arrowsケータイ」「らくらくホン」の従来型ブランドを抱えています。NTTドコモで販売されている機種は、後述の通り日本製になります。海外生産の機種は楽天モバイルや
ワイモバイル、ソフトバンク、SIMフリーとしても販売されています。

ドコモ向け機種は日本製
FCNTは神奈川県大和市の本社に加え、北海道札幌市、兵庫県加東市に拠点を持つことから、これら拠点でスマートフォンの開発が行われていることが推測されます。また、NTTドコモ向けの機種は、同じくポラリス・キャピタル・グループ傘下のジャパン・イーエム・ソリューションズ本社工場(兵庫県加東市)で生産されていますので、日本製です。一方、インプレスによれば、ソフトバンクなどで販売しているエントリースマホは海外生産になります。



その他事業は国内資本
富士通の、その他多くの事業は国内資本です。
空調機器事業
エアコンや空気清浄機に関しては、富士通子会社の富士通ゼネラル(川崎市)が展開しています。なお、同社は中国において部品合弁事業を行っていますが、会社自体は国内資本です。

スキャナ事業
ドキュメントスキャナやキーボードなどを手掛けるPFU(石川県かほく市)は、富士通の子会社です。
スパコンや5G、SI
「富岳」など
スーパーコンピュータ「富岳」やかつての「京」、5G事業、システムインテグレーションなどの最先端事業に関しては、富士通本体やその子会社が手掛けています。

このほかにも、富士通は多くの事業を手掛けています。
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